title:オヤジからのキラーパス

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Feeded by morning star
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大学時代に家庭教師のアルバイトをやっていたことは以前にも書いたが、そのほかにも輸出用自動車の船積みや首都高速道路のヒビ割れ調査など変わったアルバイトもいろいろと経験した。中でも最も変わったバイトと言えば、成人雑誌の読者投稿文の執筆というものだろう。

これは友人のアキオから紹介された仕事だった。当時アキオはアルバイトでビニ本のカメラマンの撮影助手を務めていた。いろいろと役得もあったようだが、ここでは書けない。そのアキオが仕事の関係で知り合った成人雑誌の女性編集長がちょっとした文章の書ける人間を探していると言う。何でも、その雑誌では毎号テーマを決めて読者からの投稿文を募集しているとのことだった。しかし、発行部数も少ない、いわゆる「エロ本」にわざわざ投稿してくるような物好きはいない。そこで、女性編集長自らがせっせと読者投稿文をでっち上げてきたそうだが、それにもいい加減疲れたというか、アイデアも枯渇してきたということで、読者層に近い書き手を探しているとのことだった。う~ん、俺はその雑誌の読者層に近いのかね、アキオよ。

話をさらに詳しく聞くと、原稿用紙10枚ぐらいの文字量で数人分の投稿文を数日中に書けとのこと。ま、何かを書いてお金がもらえるというのも初めての経験だったし、成人雑誌の女性編集長という存在にも興味をそそられるものがあったので、それを引き受けることにした。で、今回のそのテーマとは、「僕の初体験」…。

それから数日の間、俺は乏しい知恵と経験を絞って、いかにも読者が好みそうな初体験をいくつかでっち上げた。酒屋のアルバイトでビールを届けたらそこの奥さんに誘惑されたとか、クラブ活動の帰りに部室でいけないことに及んだとか、我ながら「ベタだなぁ」と思うつくり話を原稿用紙にしたためた。

そして、締め切りのその日。俺は女性編集長と新宿のとある喫茶店で待ち合わせた。やってきた女性編集長は、ひどく投げやりで、かといってさほど深刻さの感じられない、不思議な厭世的雰囲気を漂わせていた。これがこの業界の人たちに共通する独特の匂いなのか。ただ、会う前に俺がいろいろと想像していた「成人雑誌の女性編集長」に、このタイプは入っていなかった。

彼女に原稿を差し出す。彼女はそれを受け取ると、ぷぅ~と大きく紫煙を吐き出しながら原稿用紙の上に視線を走らせる。ひと通り読み終えた彼女が口を開く。「ま、大体こんな感じでいいんだけどねぇ…」。いいんだけどねぇ?「ひとつぐらい、話として面白くなくてもいいから、普通でリアリティのあるのがあるとよかったんだけど」。はぁ…。「ねえ、この中に○○君の初体験の話は入ってる?」「いいえ…」。女性編集長は俺の眼を覗き込みながらこうのたまった。「なんだ、それを書けばよかったのに。きっとリアリティも出たと思うよ」。そんなもん晒せるか。彼女の視線を避けるようにテーブルの下に視線を落とす。その先に彼女の足が見える。サンダルからはみ出した親指の爪の先に黒い垢のようなものがたまっていた。リアリティ…。と俺は心の中で呟いた。



Feeded by morning star
【2006/09/26 14:37 】 Old Days | コメント(12) | トラックバック(0) |

昔、読者の投稿を読んで夢をふくらませていた青年です。
そうだったんですか?いまになればそんなことはないだろうと思うのですが、その当時うぶな私には信じていました。
ちょっとふっきれた感じです。

Returned by ラビット #-|URL|
【2006/09/26 17:29】[ 編集 ]

ラビットさんへ

私もこの話を聞いた時、
はじめて「ああ、こういうことなのか」と腑に落ちました。
情報の受け取り手が欲しいものとは、
時として真実ではなく、
己の願望を満たしてくれる情報だったりするんですね。

Returned by morning star #VizADBpE|URL|
【2006/09/26 17:59】[ 編集 ]

ほほう。やっぱりそういうバイトというか作家と言うかあるんですね。ラジオの投稿はありそうでしたからもしかしたらと思っていました。それにしてもいろんなバイトがあるものですね。
私にはフィクションのようです。

Returned by ともちゃん #-|URL|
【2006/09/26 21:10】[ 編集 ]

ふむふむ、そうゆうバイトもあるんですね。
おそらく読者も、リアリティを求めてその類の雑誌を見ているのではないでしょうから、コッテコッテのベタな作り話で十分なのでしょう。
が、その中に「ほんまの話し」っぽい話しがあると、読者はふと我に返り、これリアルやなぁ・・・って頷くんでしょうねぇ。
また、その「ベタなつくり話」を公開してみてくださいませ(笑)

Returned by さっち #2Q1Nccu2|URL|
【2006/09/26 22:56】[ 編集 ]

ともちゃんへ

よく通販番組などに出てくる「愛用者」というのも怪しいですね。

特に低予算でつくられている雑誌などの場合は、
そんなことろにお金をかけるのは馬鹿らしいので、
編集者自らが書いてしまうというのが多いのかもしれません。
ゆえに、バイトとして世に出回るのは珍しいこととも考えられます。

Returned by morning star #VizADBpE|URL|
【2006/09/27 10:33】[ 編集 ]

さっちさんへ

その女性編集長にしてみれば、
ひとつリアリティのあるものが混じっていると
他の荒唐無稽な物語にも「ひょっとして…」という
根拠のない真実味を持たせることができると思ったのかもしれません。

「ベタなつくり話」の詳しい内容はほとんど覚えていませんが、
とても今、ご紹介できるものでなかったことだけは確かです(笑)。

Returned by morning star #VizADBpE|URL|
【2006/09/27 10:37】[ 編集 ]

その編集長の言ったことは的を得ていると思うよ。
ガクセイに作り話を求めてないのよ。
リアリティのある晒し話が欲しかったわけよ。たぶんね。
エロ雑誌じゃなくてもそうだと思うけどね。どこからか借りてきた言葉は重みがないのよ。
mostaさんは、そこで晒すべきだったのだ!晒す勇気!!
そうすれば今頃著名なエロライターになっていたかもしれない(笑)川上壮クンな~んてね^^**-+/=**+++

Returned by wak #-|URL|
【2006/09/27 12:23】[ 編集 ]

やっぱりそんなカラクリが....
私も以前、新幹線通勤していた時に毎朝ニッカンスポーツを読んでいて、あるコーナーの投稿をよく読んでいました。
今考えるとあまりにも「ベタ話」なので.....

Returned by マスター(治療中) #-|URL|
【2006/09/27 13:14】[ 編集 ]

wakさんへ

そうか!女性編集長は私の晒し話が欲しかったのですね(笑)。
でも、実際にその晒し話を読んだら
余計にがっかりしたかもしれません
私の話なんて退屈なだけです。
どこからか借りてきた言葉ほどの面白みも重さもないから。
何なら今度お話しましょうか?
いらない…?ほらね(笑)。

Returned by morning star #VizADBpE|URL|
【2006/09/27 13:20】[ 編集 ]

マスターさんへ

でも、最近では「いくらなんでもこんな話は…」というのが
事実だったりしますからね(笑)。
「もうここまで来たらどんなことがあっても驚かないっ」
と思っていても驚かされることばかりの毎日です。

Returned by morning star #VizADBpE|URL|
【2006/09/27 13:28】[ 編集 ]

>私の話なんて退屈なだけです。..

ちがうなあ。「私の話」だけがおもしろいんだよ。
ま、いいや。直接話したほうがわかりやすいね。
というか、ネットでは伝えづらい。

Returned by iwaki #-|URL|
【2006/09/27 18:20】[ 編集 ]

wakさんへ

あは。ぜひ今度、お願いします。

Returned by morning star #VizADBpE|URL|
【2006/09/28 13:32】[ 編集 ]












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